プロダクトマネージャーの書き溜め

エンジニア出身のプロダクトマネージャーが学んだこと、気づいたことを書き溜めていくブログです

Scrapboxで読書メモを取るメリット

普段からアイデアを練ったり、学んだことを書き出すなど知的生産を行う際はScrapboxを使っています。

そういった運用に加えて半年ほど前から読書メモもScrapboxで取るようになったのですが、何冊分か読書メモを取っていく中で、自分の知識の引き出しに大きい変化があったので記事にまとめてみます。

ノート、PCのメモ、スマホのメモ、A4用紙など色々読書メモを取るために試してみたが、全然合わず未だ模索中・・そんな方に見てほしいです。

Scrapboxとは

まず、Scrapboxというサービスがそもそも何なのかまとめます。
ScrapboxとはWebで動作するノートサービスです。個人利用の場合は無料で使用できます。

scrapbox.io

こういったノートサービスはScrapbox以外にも沢山あります。Notionは有名ですし、Microsoftが提供しているOneNoteも使ったことがある方は多いでしょう。そういったサービスとScrapboxには決定的な違いがあります。

他ノートサービスとScrapboxの違い

Scrapboxが他のサービスと異なるポイントは

  • 何かを考える
  • 情報を練り回す
  • 情報同士を繋げる

のような知的生産を行うことに特化しているという点です。

まず書いたメモを管理する方法が他サービスと異なります。
Notionなどのサービスは「階層構造」でメモを管理します。パソコンのディレクトリ構造をイメージして頂けると分かりやすいかもしれません。

対してScrapboxには「階層構造」がありません。一つの階層に全てのメモが配置されています。パソコンのディレクトリなら「デスクトップ」にメモがずらっと配置されているような感じです。メモ同士は「リンク」を用いて接続できる仕組みになっています。(自分用Wikipediaのようなイメージです。Notionのような階層型のサービスに対してネットワーク型のサービスと言われます。)

このようなネットワーク構造を形成する仕組みが知的生産を行う上で非常に強みを発揮します。Wikipediaのようにメモ同士を繋ぐことができるので、関連する事柄を横断・繋ぎ合わせながら発想することができます。(Wikipediaで何かのページからリンクを辿っていくようなイメージです。このメモとこのメモに関連性があったとは!のような発見があります)

scrapbox.io

また脳にある情報をテキストに書き出すことに特化したUX設計も強みです。
こちらはぜひ使って感じて頂きたいのですが、ぐんぐん書き出せる感じがあります。(すごく曖昧な表現ですみません、、でも本当にそうなのです!)

近い思想を元に作られた他サービスも使ってみましたが、何か動作をする際ワンクッション思考が止まってしまう瞬間があります。(リストを作る、リンクを作る、改行するなど)そういった思考を止める瞬間がScrapboxは限りなく少ない印象にあります。なので「ぐんぐん」思考を書き出せるという感じです。

上記のような強みがあるサービスで、Notionで再利用されないメモがあるのはとても勿体無いな〜と思っていたところにScrapboxを使っている方の記事を見て、自分も使ってみようかなと思い立った形です。

(Notionを始めとした階層構造型のサービスを批判している訳ではありません。知的生産系以外の資料はNotionで管理しています。知的生産をより良く行う上でScrapboxが今のところ適していると考えているという感じです。)

やっていること

Scrapboxを用いた読書メモを取る取り組みは以下のような手順でやってます。

  1. 本自体のメモを作成
    1. 著者名、タイトルなどの基本情報の書き込み
    2. 各章へのリンク設置gyazo.com
  2. 各章のメモを作成
    1. ここに章ごとのメモを書いていく
    2. 適宜リンクを設置
      1. 他メモとの連携
      2. 特定の事象についてさらに深掘るgyazo.com gyazo.com

上記のような流れです。至ってシンプルだと思います。

変化

1. 自分の中でちゃんと定義しきれていない事が明らかになった

Scrapboxを使うことで分かっているつもり、説明できるつもりになっていたけれど、意外と理解できていなかった、定義できていなかったことに気づきやすくなりました。

Scrapboxのリンクを作ると、まだメモを定義できていないリンクは赤色のテキストで表示されます。(メモ下の「New Links」にまとめて表示もされます。)

gyazo.com

このように自分の中でちゃんと消化出来てない箇所が明らかになりやすい仕様になっているので、分かった気になりにくく、さらに知識を深めていけます。

2. 本の内容・実体験・記事の内容など本来繋がることが無かった情報同士を繋げることが出来るようになった

リンク機能により、本の内容・実体験・記事の内容など、本来交わらなかった情報が紐づくようになりました。

gyazo.com

これまでは本を読んでいても、他の知識と連結せず時間が経つと忘れてしまったり、記事もブックマークはしたが、読むのを忘れていたりといったことが多々ありましたが、自身の実体験と紐づくことでより記憶に残る、もしくは話したいタイミングで頭に浮かぶようになったり、関連する項目に記事へのリンクが表示されることでよく閲覧するようになったりといった効果がありました。

(記憶に残る部分については、こういった研究結果があるといったエビデンスはなく、私自身の感覚です。そういった論文などあればぜひコメントで教えてください!)

3. 既存知識の更新・積み上げができるようになった

メモを書いていると関連でだいぶ前に書いたメモが出てくることがあります。そういった古いメモに触れるきっかけを得られることで、当時の知識の更新や追記、振り返りができるようになりました。

こういった過去の知識に触れたり、アップデートを行うのは階層型のサービスだと意識的に行わない限り難しいと思います。わざわざ更新・積み上げする必要は無いのでは?と思われるかもですが、個人的には言語化して書き出す事に価値があると思っています。

頭にフワッと持っているだけでは「分かってない」状態です。(「1」にも記載しましたが書き出すことで分かってないポイントが明らかになると思ってます。)一度書いて終わり!ではなく都度更新する機会をScrapboxが作ってくれるおかげで更新・積み上げを行う習慣がつきました。

4. どんな本なの?と聞かれた時、すらっと口頭で要約が出るようになった

自分はあまり頭が良くなく、どんな言葉もすらっと出てくるタイプではありませんでした。本の要約なんてもっての他で、非常に浅い回答しか出せなかったです。ただScrapboxを用いてメモを取り出して以降、スムーズに比較的細かく要約を話せるようになりました。

また合わせて自分の体験など本以外の事象も例としてセットで出せるようになりました。(本を読んで、自身の行動をこのように見返した。自分にもこういう体験があって、本のこの部分に共感した。など)

こういう変化が発生した理由を考えてみると、「構造化してメモを取るので、頭で処理しやすい」「本のメモとして独立せず、自身の体験と関連付けることでより記憶に残りやすくなった」「説明が定義されてないリンクがわかりやすいので、そこをちゃんと埋めて行った結果、ふわっとでなく、深く本の内容を理解できた」あたりがポイントなのかなと思ってます。

最後に

Scrapboxを使ってメモを取るようにしたことで、より本の内容を自分のものにできるようになったと思います。また読む中で疑問に感じたこと、より深めてみたいことが分かりそうな本を買って、リンクを繋げてネットワークを広げていくような楽しみ方、学び方も見えてきました。

せっかく本を買って読んだが身にならない。読んだ気になっているだけという話はよく聞くと思うし、自分自身そうでした。読んだだけでばっちり身に出来る人は本当にすごいなと思います。

ただ自分は賢く無いから無理だと嘆くのではなく、賢く無いなりに取り組める方法を試行錯誤し乗り越えることに意味があるのかなと最近思います。そのまま取り組んで難しいのであれば、自分の解ける領域まで持っていく方法を考えるべきだと今回強く思いました。

ひとまず高校生の頃から思っていた、本を読んでもあまり身にならない問題を解決する自分にとってのバージョン1は見つかりました。さらにここから試行錯誤し、バージョン2、バージョン3を見つけていければと思います。人生は長い!